熱狂か、搾取か。――本屋大賞受賞作『インザメガチャーチ』が暴く「推し」のディストピア

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普段、私はカバンに入れて持ち運びやすい「文庫本」を好んで読んでいます。しかし、どうしても我慢できず、久しぶりにハードカバーを手に取って一気読みしてしまった作品があります。

それが、朝井リョウさんの『インザメガチャーチ』です。 現代の「推し文化」を、3つの異なる立場や年齢の視点から容赦なく風刺した本作は、まさに今の社会の歪みを映し出す最高傑作でした。

「推し」という概念の裏側にある恐怖

正直なところ、私は普段「推し」という言葉を自分では使っておらず、その文化の根底にある熱量をいまひとつ掴みきれていませんでした。しかし本作を読んで、推しに人生を捧げる人の純粋な感情と、それゆえの「怖さ」を強烈に突きつけられました。

特に私が衝撃を受けたのは、「推し」をビジネスとして成立させている供給者側のロジックが描かれた部分です。

私はこれまで、ファンがアイドルを盲目的に応援する構造は、ファン自身の熱量から自然発生的に生まれるものだとどこかで勘違いしていました。しかし、よく考えれば当然です。その熱狂を作り出し、売上を最大化し、依存を継続させようと裏で緻密に戦略を練っているプロ(供給者)たちが存在するのです。

搾取の構造と、客観視の恐怖

消費者として外から眺めていたきらびやかな世界が、本書を開いた瞬間、ビジネスの冷徹な目論見に侵食されていく。その「ひどくいびつな業界構造」に気づかされたとき、背筋が寒くなりました。

もちろん、誰かを応援することで元気を生み出す関係そのものを否定するつもりはありません。目の前の輝きに救われる人は確かにいます。 しかし、それを一歩引いて客観視したとき、そこにはある種のディストピア的な恐怖が潜んでいるのです。

まとめ

本作は、単なるアイドルの物語ではありません。情報や消費に踊らされず、「自分の人生にどう向き合うか」を深く見直すための劇薬です。

現代を生きるすべての人に、この「狂気とビジネスの境界線」を体験してほしいと思います。

おすすめ度:★★★★★(5.0) ※文句なしの満点。現代社会に生きる私たちの「仕様」を揺るがす一冊。

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