今回紹介するのは辻村深月のオーダーメイド殺人クラブです。
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「もしも自分が死んだら、誰か悲しんでくれるだろうか?」 そんな、誰しもが一度は抱いたことのある、でも口には出せない「中二病的な絶望」を、鮮やかなミステリーに昇華させたのが『オーダーメイド殺人クラブ』です。
※ネタバレを含みます
あらすじ:理想の「死」をデザインする
リア充グループに所属しながらも、学校や家族に言いようのない苛立ちを感じている少女、小林アン。 ある日彼女はクラスでも異端の存在である徳川に「自分の殺害」を依頼します。 二人が作り上げる、美しく残酷な「殺人事件」の結末とは――。
可視化される絶望と、SNSの影
本作は2010年頃に書かれた作品ですが、私は「今だからこそ読むべき一冊」だと感じました。
今の時代、SNSを開けば自分よりも恵まれた生活、楽しそうな日常が嫌でも目に入ります。 かつては心の内側に秘めていた「自分一人がいなくなっても世界は回る」という虚無感や、他人と比較して病んでしまう精神状態が、SNSによって加速し、可視化されているように感じるからです。
「死にたい」という言葉が、現代ではある種の叫びとして、昔よりも身近に、そして気軽に使われるようになっているのかもしれません。
「余生」を生きるというメタ的なマインド
物語の終盤、「一度死んだから、今は余生を生きている」という趣旨の描写があります。
私はここに、現代を生き抜くための大きなヒントがあると感じました。 期待やプレッシャー、他人との比較に押しつぶされそうな時、「自分の人生はもう一度終わったもの」として、メタ(俯瞰)的な視点を持って生きること。 そんなマインドこそが、今の私たちに求められている救いなのではないでしょうか。他人軸ではなく、自分軸で生きていく余裕をもっている必要があると感じさせられました。
まとめ
思春期の多感な思いを「殺人依頼」というミステリーで包み込んだ本作は、単なる青春小説ではありません。
今、何かに絶望している人や、「自分なんて」と感じてしまう人に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。重いテーマではありますが、読み終えた後には自分の人生をどう歩むか、もっと気楽に生きてみてもいいのではないかと少し違った景色が見えるはずです。
おすすめ度:★★★★☆(4.0)
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